映画

2006年面白かった映画

順位を付けるのはなんか偉そうな感じがするし、それを発表するのはどうも照れくささを感じるんだけど、それを人に言いたいという欲求があるのも確かだ。大体、これまで散々上からの目線で文句たれてきてるのに今さらそんな羞恥心を持ち出してどうする。 とい…

「トゥモロー・ワールド」 監督 アルフォンソ・キュアロン

公式サイト なんだか評価が高いみたいだというのは事前に知ってはいたものの、それでも先入観とは拭いがたいものでB級的な味わいを期待してしまっていた。駄菓子を食べるつもりで口に入れたら、ずっしりとした高級料理だった感じというか。 そんな感じなので…

「パプリカ」 監督 今敏

公式サイト この映画を想像力豊かと言ってしまっていいのか迷う。確かに夢と現実がダイナミックに混じり合うのだけど、「めちゃくちゃ」という言葉の既成概念をはみ出すものではなかったような気がする。この映画に出てくるどのイメージも、「ああ、なるほど…

「スキャナー・ダークリー」 監督 リチャード・リンクレイター

公式サイト 原作の内容を知らなかったので、フィリップ・K・ディックの小説の映画化、特殊な映像という事前知識から、訳の分からない幻覚と現実が混じり合うような映画を期待してしまっていた。状況は確かに混乱しているのだけど、ストーリーの混乱より内面…

「ルナシー」 監督 ヤン・シュヴァンクマイエル

公式サイト 冒頭で監督本人が登場し少し講釈を垂れながら「これはホラーです」とかなんとか言うので、ホラー映画が苦手な俺としてはちょっと身構えてしまうのだけど、ある意味予想通り、殺人鬼が出てきて若い男女が惨殺されるわけでもなく、幽霊が人を脅かし…

「キング 罪の王」 監督 ジェームズ・マーシュ

公式サイト すんなりとは理解できない映画だ。主人公が悪意を持っているのかいないのかがいまいち掴めなかったし、主人公の行動の目的が愛なのか家庭なのか復讐なのかも俺にはよく分からなかった。それでも悪事を働くのが主人公だけならまだ理解できたかもし…

「手紙」 監督 生野慈朗

公式サイト ずっと違和感を感じ続けたのは、殺人犯の身内はそんなに差別を受けるのか? ということだった。結婚とかはまあ分かるけど……。自分の子供の友達の父親の兄が殺人犯だったら、あそこまで露骨に避けるだろうか。自分の周りにいないからぴんと来ない…

「カポーティ」 監督 ベネット・ミラー

公式サイト こういう実在の人物を取り上げた映画は、どういう視点で観るか戸惑ってしまってどうも苦手だ。これはカポーティという人物がどんな人だったかを描こうとしているのか、それともカポーティという人物を通して何かを描こうとしているのか。言い替え…

「父親たちの星条旗」 監督 クリント・イーストウッド

公式サイト 観てから時間がたってしまった今、いくつか思い出したシーンの意味が分からないことに気付く。 考えてみると、これはどんな設定だったんだっけ? 時間的にも空間的にも頻繁に移動する演出に惑わされて、そこのところを見落としてた気がする。見た…

「太陽」 監督 アレクサンドル・ソクーロフ

公式サイト この映画の中では、昭和天皇がアンガールズのコントのような笑いをまとって描かれる。大臣達、アメリカ兵達との対比で相当好意的に描かれている。 天皇という存在については、なぜ権力者だったのに処刑されなかったのか、形が変わったとは言えな…

「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス ディズニー デジタル 3-D」 監督 ヘンリー・セリック

公式サイト 3Dだとどうなるんだろうと思ったけど、意外と思ったほどのインパクトはなかった。平面で観た時に気持ちいい構図というのは立体になったら崩れた印象になるんじゃないかとも思ったんだけど、そんなこともなかった。むしろ、強調されて見えるような…

「ストロベリーショートケイクス」 監督 矢崎仁司

公式サイト 道端で男に引きずられる女の子とか棺桶で寝る女とか、奇をてらった演出を見てこれはなんか付いていけないかもと思ったんだけど、そんな事もなくその後は結構引き込まれていった。 何気ないシーンに印象的な映像が多い。電車のドアが閉まってしま…

「ゲド戦記」 監督 宮崎吾朗

公式サイト この映画に関してはほぼ悪評しか耳にしていない。これだけ期待が薄まれば、俺の場合は大抵の映画は面白く観られる。それはこの映画にも当てはまった。なかなか面白かったと思うけどなあ。 確かに、後半説教臭い。この映画のテーマらしき「生とは…

「記憶の棘」 監督 ジョナサン・グレイザー

公式サイト なぜか生まれ変わりを扱った映画は好きな映画が多い。そういう面でこれは観る前から不必要に期待が大きすぎたかもしれない。 緩慢と言えば緩慢。だけど、その緩慢さは意外とそれは心地よさを伴う。この緩慢さの正の部分を意識するか負の部分を意…

「LOFT」 監督 黒沢清

公式サイト 少し俺の理解を超えている。後半は? なに? まるで前衛の舞台を観ているようだ。印象に残ったのは存在を主張する物体。机、家、樹木、影などが、視界に入っているのに意識されない背景ではなくそこに存在している物として、否が応でも目が行って…

「パンチドランク・ラブ」 監督 ポール・トーマス・アンダーソン

この雑多な印象を受ける映画の意図を俺が十分に理解できたとは思えないけど、見ていて気持ちがいい。それはストーリーとは全く別のところにある。突然事故を起こす車とか。少し離れたところから眺める感覚。 そんな映画はあまり見たことないのに、「古き良き…

「ワールド・トレード・センター」 監督 オリヴァー・ストーン

公式サイト なかなか考える事があって興味深い映画だった。 確かに9.11のテロ事件を描いているんだけど、あの事件の固有性はかなり薄い。「ユナイテッド93」は最後まで疑似ドキュメンタリーを貫いたけど、これは個人のドラマに寄りすぎてしまってフィクショ…

「百年恋歌」 監督 侯孝賢

公式サイト どうにも感想が書きにくい。この映画は「恋愛の夢」、「自由の夢」、「青春の夢」の3部からなる。3部は同じ監督による別の映画といった感じで、ある面では似ているけど、ある面では感触が異なる。主役の男女は3編を通じて同じ俳優が演じている。…

「プラダを着た悪魔」 監督 デヴィッド・フランケル

公式サイト いいねえ。いいよ。現実を模倣する事に一生懸命過ぎて失速してる映画とか、「とりあえずひねっとけ」的に意味もなく迷走する映画も多い中で、この映画はかなり直球勝負のコメディだ。音楽の力を借りて次へ次へ次へと小気味よく転がっていく。俺が…

「惑星ソラリス」 監督 アンドレイ・タルコフスキー

タルコフスキーの映画は少し詩的すぎるんだよな。この映画は何度目かの挑戦だけど、初めてうとうとせずに見通した。美意識と郷愁の煙幕で覆われて、ソラリスの海の設定が潜在的に持っている哲学的テーマの輪郭がぼやけて感じがする。もっとも、小説は小説、…

「ブラック・ダリア」 監督 ブライアン・デ・パルマ

水漏れ修理black-dahlia うーん、どうなんだろう。途中部分的には面白い。妖しげな1940年代のハリウッドという大きな借景と登場人物達の妄執で、ねっとりとした暗闇に包まれる。特にジョシュ・ハートネットのキャラクタは魅力的にその空気の中で翻弄されてい…

「マッチポイント」 監督 ウディ・アレン

http://www.matchpoint-movie.com/ ウディ・アレンはほんとにはずれがない。まず今回もそこに感心する。 大まかなストーリーはどこかで聞いたようなどこか古典的な話だ。しかし、男も女も大小様々な欲にどうしようもなく流されていく場の会話や息遣いのディ…

「レディ・イン・ザ・ウォーター」 監督 M・ナイト・シャマラン

【ワーナー公式】映画(ブルーレイ,DVD & 4K UHD/デジタル配信)|レディ・イン・ザ・ウォーター 俺がシャマランに期待しているものは「レディ・イン・ザ・ウォーター」ではやや薄まっていた。シャマランに期待しているものとは、普通と逆の裏切りだ。「お化…

「嫌われ松子の一生」 監督 中島哲也

http://kiraware.goo.ne.jp/ 最初のうちはこれは合わなくてだめかなあと思っていたけど、ミュージカルシーンは面白いし、だんだんどろどろした感じになってきて少しずつ引き込まれていった。けど、そのドロドロ感は次第に俺の許容範囲を超えていく。ちょっと…

「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」 監督 ゴア・ヴァービンスキー

http://www.disney.co.jp/pirates/ なんと。これだけで完結する話なのかと思いこんでいたら途中で終わってしまった。次回作がこの話の後半だったのか。まあ、いいんだけど。大ダコに襲われるシーンはいいねえ。やっぱ俺はああいうのが好きなのかなあ。それと…

「地獄の黙示録・特別完全版」 監督 フランシス・フォード・コッポラ

地獄の黙示録 特別完全版 [DVD]出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント発売日: 2002/07/25メディア: DVD購入: 1人 クリック: 90回この商品を含むブログ (168件) を見る奥へ奥へと向かっていく興奮。興奮するコメディ映画。しかし黒い笑いの先に待っ…

「キングス&クイーン」 監督 アルノー・デプレシャン

http://www.kingsqueen.com/ 印象に残るのはごった煮の感覚。色々な要素が加工されずに詰め込まれている。ヤスリをかけられ滑らかにかみ合うように作られた娯楽映画を見慣れた目には、この違和感は新鮮だ。

「ヒトラー 〜最期の12日間〜」 監督 オリヴァー・ヒルシュビーゲル

ヒトラー~最期の12日間~スタンダード・エディション [DVD]出版社/メーカー: 日活発売日: 2006/11/10メディア: DVD購入: 1人 クリック: 203回この商品を含むブログ (130件) を見る戦争映画にもかかわらず端正な室内劇だ。実在のヒトラーがどんな最期を迎えた…

「乱れる」 監督 成瀬巳喜男

乱れる [DVD]出版社/メーカー: 東宝発売日: 2005/07/22メディア: DVD購入: 1人 クリック: 17回この商品を含むブログ (45件) を見る成瀬巳喜男は評判が高すぎてとっつきにくいんだけど、普通にメロドラマとして面白い。ただ、「乱れる」という題名の割には高…

「マイアミ・バイス」 監督 マイケル・マン

http://www.miami-vice.jp/ マイケル・マンの映画の夜、そして空はあいかわらずきれいだ。いわゆる絵はがき的なきれいさと紙一重なんだけど何が違うんだろう。不穏にざらついた暗闇、穿つ光源、ぬめる反射光。そんな風景を大胆に遮る夜行生物たる犯罪者と捜…