「手紙」 監督 生野慈朗

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ずっと違和感を感じ続けたのは、殺人犯の身内はそんなに差別を受けるのか? ということだった。結婚とかはまあ分かるけど……。自分の子供の友達の父親の兄が殺人犯だったら、あそこまで露骨に避けるだろうか。自分の周りにいないからぴんと来ないだけなのか。あるいは殺人犯側の立場だけを想像して、殺された側の気持ちを俺が想像できなかっただけなのか。
だけど、後半、そんな違和感が何度か吹き飛ばされた。沢尻エリカが手紙の持つ意味を訴える姿と玉山鉄二のほとんど僧のような堪え忍ぶ姿によって、映画に引きずり込まれた。
沢尻エリカは力強い。大人の事情を煙に巻いて子供をごまかそうとしたら、非の打ち所のない単純明快な正論をぶつけられてうろたえてしまうように、そんな幼さに支えられた力強さにやられた。