「インサイド・マン」 監督 スパイク・リー

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前半、特にディテールはいい。人種がらみのセリフははまっていて気持ちいい。デンゼル・ワシントンジョディ・フォスターは魅力のあるキャラクターを作っている。
だけど、後半少し気持ちがだれてきた。銀行強盗に関するサスペンスは面白い。けど、その事件の裏の顔が映画の勢いを削いでいるように感じる。ただ、実は話がよく理解できてない。雰囲気的に大体分かるんだけど、細かい話が見えていない。後半勢いを感じなかったのは話が理解できなかったからか?
この日記の先頭には「結末をばらさないための努力はしていません」と書いてあるけど、今日はここに改めて書いておく。ここから後ろはネタばれだけだ。結末まで含めたストーリーのおさらいだ。たぶん他人が読んでも全然面白くないだろう。いや、もしかして下手に思った事を書くより人の役に立つかも? さて、すでに忘れ始めてるけどちゃんと思い出せるかな?


銀行強盗が入った。その銀行の貸金庫には銀行会長の秘密が隠されている。会長は弁護士に連絡をとる。この時点で会長がやろうとしていた事はなんだろう。依頼された弁護士も「私に何を求めているのですか?」と同じ事を訊く。それでなんて答えたんだっけなあ?その時点では銀行強盗の目的はまだ金だと思っていたはず。とばっちりで秘密がばれてしまう事を恐れていた。という事は、金はやるから金庫はいじるなという交渉をしたかったのか? ああ、そうか、方法はどうでもいいから秘密がばれないようにしろという事だったのかな? 金が目的だったらこじらせず金を持たせて逃がしてもいいし、もし秘密が目的だったら、まあ、どうにかしろと。


一方、この事件を現場で担当している刑事は、別件で小切手紛失に犯人かもしれないと疑われている。この件に関して実際に関わっているのかどうかは、結局最後まで明らかにされてない(と思う)。
弁護士は現場でこの刑事と、直接犯人と交渉させろと交渉する。そうだ、ここのやりとりもよく分からなかったんだよな。弁護士は出世や小切手紛失の話を持ち出す。あれは協力すれば、その件も丸く収めるし出世もできるよという交渉だったのか? 逆の脅しか? 協力しなければどうなるか分からないよ? でも後でどこからともなく金が出てきてむりやり解決してしまったところを見ると前者だったんだろうな。それでどうなったんだっけな。なんか少し待たせてから、犯人と直接交渉するのを許可するんだな。
それで犯人と交渉する。すると、犯人はすでに秘密の事を知っている。むしろそっちが目的のようだ。
秘密が明かされたのはどのへんだったっけなあ。とにかく、秘密というのは会長が戦争犯罪で、ナチスドイツにカルティエの社長だったかなんだかを売ったという話だったよな。そう、この辺もよく分からなかったんだ。ナチスに引き渡す事でダイヤを持っているという事は、没収された財産をもらえるという事で引き渡したという事か。貸金庫に入っているのはその戦争犯罪の証拠であるダイヤだ。それと封筒。ダイヤは分かるとしても、あの封筒はなんだ? そんな証拠になるような封筒をなぜ残しているんだ?


そのうちどうも犯人の方が時間の引き延ばしをはかっているという事に刑事が気付く。なんのためだ? あの銀行内の隠れ場所を準備するためか。それだけだったらあの人質解放の手順はなんだ? なぜ隠れ場所の準備ができてからあんな手の込んだ事をする必要があったんだ?
わざわざ人質を殺害したように見せかける。そして機動隊が突入してきたところで人質を解放する。なんでそんな手の込んだ事をしたんだ? 準備ができたらさっさと人質を一斉解放すればいいじゃないか。その中に仲間が潜っている事は、あの手の込んだ解放手順じゃなくても問題にならないような気がするんだけど。


そして、人質の中に犯人がいるために人質の事情聴取が行われる。ここでよく分からなかったのはあの編集だ。これまでにも合間合間に人質の事情聴取風景が挿入されている。で、このシーンになってその事情聴取の意味が分かるんだけど、なんのために少しずつ事情聴取シーンを入れていたんだろう。なんかじわじわとネタをばらしているだけで逆効果だったなような気がするんだけど、そんな事ないか?


さて、強盗のリーダーだけは銀行内に作った隠れ場所にしばらく隠れ、銀行の通常営業が始まってから悠々と銀行を出る。
これで銀行強盗は完了するわけだけど、映画はまだ終わらない。
リーダーは銀行を出る時、わざとカルティエの名の入った箱に入った指輪だけは残していく。さらに偶然すれ違った刑事のポケットにダイヤを忍ばせる。こいつは何がしたかったんだ? 戦争犯罪を公にしたかったのか? 警察上層部は銀行会長の圧力により事件を終わった事にしようとしている。もしあの刑事も、あのまま事件を終わりにしてしまったら、金庫に残された指輪は発見されずに終わってしまったはずだ。あの刑事なら気付くという確信があったのか? ポケットに入れたダイヤは? 軽い挨拶とか冗談みたいなもの?


事件後の弁護士と銀行会長の態度もよく分からない。なんであんなに悠々と構えてられるんだ? 結局証拠は取られたものの、脅しに応じて金を払えばどうにかなるだろうと考えているようだ。公にならなければ、戦争犯罪の証拠が警察の手に渡らなければいいと考えていたのか? なぜ犯人達がその証拠を公にしないと考えているのだろう。犯人の事をそんなに知ってたのか?


大体だ、犯人がそのダイヤや戦争犯罪についてどうやって知って、それを奪って何がしたかったのかは明らかにされないまま終わる。あいつらは何がしたかったんだ? 金か? 戦争犯罪を暴く事か? あの刑事が担当じゃなかったら後であの指輪を警察にでも送りつけるつもりだったのか?