「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」 総監督 庵野秀明 監督 摩砂雪/鶴巻和哉

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・比較できるほど前の作品を覚えていないのだけど、相当手の込んだ絵になっている。話はほとんど同じみたいだけど、やっぱり作り直しただけあって、同じシーンでもほとんど書き直しているように見える。
・きっと細部にはさまざまな意味や出典があるのだろうけど、そういう部分は物知りな人に任せてなぜこのアニメに惹きつけられるのかを考えてみると、結局シンジの性格が自分と似ているからだ。細部の意匠のためじゃない。
・本当はやりたくてもやりたくない振りをして、他人に背中を押してもらえるように仕向けて「言われたからやる」という体を装い、自分の意思を隠す。あるいはやりたくないことであっても、自分の意思よりも他人の意思を優先することで自分の意思を隠す。
・これは過剰に「責任」を怖がっているせいだろうか。
・人に指摘されたくないところをぐさぐさと指摘されているようで、第三者的に見ていられない。それで、くどいぐらいの過剰なドラマと演出も気にならなくなってしまう。
・そういう意味でとても日本的な感じがする。ハリウッドで実写化という噂はずっとあるけど、まず無理じゃないかと思う。もし実現したらたぶん器だけ同じで中身の違う映画になるだろう。これに限らないか。
・もうひとつ、このアニメ独特(と言ってもアニメはあまり見てないので俺が見てきた映画と比べて独特という意味だ)なのは、体液感というか内蔵感というか、あえて言えばクローネンバーグ的というか、ぬめぬめした生物の感触だ。
・血の味と精液の臭いが頭の中で甦る。
・今書いてきたことは旧作の感想でもあるのだけど、今回観ていても感じたという事で。
・映画には関係ないけど、エンドクレジットを見ていて宇多田ヒカルの曲「Beautiful World」の作曲が宇多田ヒカル本人だと初めて知った。今まで作曲は別の人なのかと思い込んでいたのだけど、今調べてみると過去の曲も本人が作曲してたんだ。すげー。