「恋愛睡眠のすすめ」 監督 ミシェル・ゴンドリー

Science of Sleep
・妄想とか夢のシーンは映像的には好きな感じなんだけど、結局想像の世界に過ぎないところが弱い。あの映像を現実として構築してほしかった。なにしろ実際には映画自体が現実じゃないのだから。
・これを観ていて「パプリカ」を思い出した。あの映画に感じた物足りなさも同じかもしれない。「夢」を持ち出してしまうとどんな映像でもありになってしまう。なので、どんな映像を持ってきても受け入れられてしまって緊張感が薄れてしまう。現実の世界ではありえない映像や出来事が、その映画の世界では現実なんだと受け入れようとした時に生まれる軋轢に、俺は面白さを感じるのかもしれない。そのためにはまず、その現実にはありえない映像を現実という前提で表現してもらう必要がある。
・でも観ているうちに、主人公の内面の面白さにまあこれもいいかという気にはなってきた。
・人の気持ちの触れ方がアメリカ映画とは違っていて、やっぱりミシェル・ゴンドリーもフランス人なんだなあと感じた。「エターナル・サンシャイン」みたいなのもあれはあれで分かりやすくていいけど、人の気持ちの分かりやすさが逆に一種のファンタジーだよな。