「大日本人」 監督 松本人志

・途中までは面白かった。突飛な状況を設定してそれを現実のものとして肉付けしていく、金のかかった冗談として楽しめた。
・「ガキの使い」で、視聴者からの見当はずれな質問に松本人志が乗っかって話を膨らませていくコーナーがあるけども(ちょっと前に見たときにはあのコーナーがなかったので、もうないのかもしれない)、あれと同じように無理やりな設定を現実にしようとする面白さがあった。
・ただ、敵役の怪獣が芸人でしかも顔が見えていて、なんだか俺があまり好きじゃない内輪受けを狙ったような雰囲気が出ていて、そこはちょっといやな感じはしていた。
・で、あのラストだ。この映画がなんだかあまり評判は良くないみたいだというのは知っていたけど、あまり具体的なことは知らなかった。けど、たぶんあのラストを拒絶しているのであろう事は想像に難くない。
・俺もあのラストは受け付けられなかった。最初からテレビコントと思ってみていればなんの抵抗もないのかもしれないけど、映画だと思ってみていると突然漂ってくるテレビコント臭に辟易する。
・一体どういう意図でああいう終わり方にしたんだろう。笑わせようとしたのか? 驚かせようとしたのか? 「映画」の中に「映画」ではないものを持ち込みたかったのか? 観客がブーブー言うを想像して楽しんでいるのか? その意図さえ分からない。
・なんでもいいから普通の「映画」のように終わらせたくなかったのか? だとしたらあの終わり方は安易過ぎる気がする。せっかく海外旅行に行ったのに日本人スタッフがいるところにしか行かないツアー客のようだ。映画監督業を観光しに来ただけだったのか? 結局自分の土俵から出るつもりはないのか?