「植物診断室」 星野智幸 著

植物診断室
・似た境遇にまず親近感を覚える。最近徘徊してないなあ。成り行き任せの徘徊は楽しい。

見落としたのが信じられないほど、その路地は寛樹好みの肢体を持って魅惑していた。

いい文章だ。
・この植物のイメージがいいな。たまらない。世の中には動物的な人間と植物的な人間がいる。
・文学のことはよく分からないけど、俳句や川柳みたいなものと一緒なんだろうか。特にこのくらいの長さの場合、物語の型の中でいかに何かを表現するかで勝負しているように見える。
・すごく面白かったのだけど、それと内容が理解できたかどうかということはまた別だ。主人公が後悔するほど否定しているものはなんだったのだろう。漠然と分かりそうな気がするんだけど、はっきりと見えない。そして、ラストはそれを否定することを否定することにしたのか? それとも止揚されたのか?
・同年代のように見えたんだけど、子供のときに戦争の面影がまだ街に残っていたといっている。なんかその辺が違和感があるな。