「海辺のカフカ(上・下)」 村上春樹 著

海辺のカフカ〈下〉
海辺のカフカ〈上〉
最近村上春樹について書かれた本を続けて買ったので、その前に久しぶりに読み直してみた。読んだ時には前回見逃していたポイントに気付いたのだけど忘れてしまった。なんだっけな。
この本はいろいろな側面があるように感じるんだけど、「記憶」が重要な鍵の1つだ。「記憶」はほろ苦さを演出してこの本を彩るけど、ドラマの演出のために取り上げられているわけじゃない。自分が認識する物すべて、さらには自我そのものも記憶でできている事が、この本(ひいては村上春樹の本)のテーマの1つになっているように見える。
そんな不明瞭で流動的な世界の中に、村上春樹は何か確固としたものを描こうとするのだけど、そこが俺にはよく分からなくてどんな意図なのかを知りたい。

「だったらそいつを殺すんだ。圧倒的な偏見をもって断固抹殺するんだ」

そうして殺されてしまう「うり」のような物体は一体何を表しているんだろう。