「忍道 戒」

Spike the Best 忍道 戒
3人の対立する有力者の依頼を選んで進んでいくという設定から勝手に黒澤明の「用心棒」だとかダシール・ハメットの「血の収穫」を連想して、初めのうちは全員と付かず離れずの距離を保っていた。だけどなんかストーリーが進んでいないような気がして、途中から一人(当然いつもくねくねしてる女教祖)を助ける任務だけを選ぶようにして、めでたく女教祖がその土地を手に入れるエンディングを迎えたわけだけど、どうも隠しエンディングに行く方法は最初の方向で良かったみたいだ。別に不正解の結末だったってわけでもないんだけど、やっぱり全員破滅とか和解とかじゃないと、いびつな結末を選んでしまった感じがするなあ。でもそうするとこのゲームの通常の結末はすべていびつな結末だって事だ。俺の頭が物語の定型に毒されてる?


忍道 匠」は致命的な欠点を持ちながらもなかなか面白かったので少し期待していたんだけど、このゲームは思っていたものとはちょっと違っていた。いくつかある舞台は繰り返し繰り返し登場し、ゲームが進んでも変化しない。変わるのは敵の強さだけだ。ゲームのストーリーにはあまり興味なく(その割には結末を気にしてるけど)、「次の面はどんなマップなのか」「この断崖絶壁はどんなルートで超えることができるのか」といったことを楽しみにゲームを進める俺みたいな人間とっては面白味が少ない。「忍道 匠」で鍛えた壁を上るテクニックや谷を越えるテクニックはほとんど使う必要はない。トラップもほとんどない。
まったく面白くないというわけじゃない。忍び寄って暗殺する感覚はなかなか気持ちよい。ただそれも含めてこのゲームのシステムをフルに活用しているのは、番外編的なソフトである「忍道 匠」の方だったなあと思う。
なんかamazonでの評価は俺と逆だけど、「忍道 戒」が面白かった人には「忍道 匠」は面白くないのだろう。本編と番外編であるこの2本のゲームは、同じシステムを使っているけどほとんど違う種類のゲームだ。