「ヤバい経済学」 スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー 著

ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する

ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する

数値は強力だ。数字で関係があることを示されればそれに反発することは精神的に難しい。ただ、そこには落とし穴もある。この本にも書かれているとおり、それがただの相関関係なのか因果関係なのか、どんな関係にあるのかまでは数字は教えてくれない。
印象深い部分がある。
それは、子供の成績とさまざまな家庭環境が相関関係があるかどうかの調査について書かれた部分だ。家に本がたくさんある、養子、親がPTAの活動をしている、テレビをよく見る、よく美術館に連れて行く等々。相関関係がある項目ない項目が数値で浮かび上がってくる。その結論は

あなたが親として何をするかはあんまり大事じゃない−大事なのは、あなたがどんな人かなのだ。

データ自体は明白だ。しかし、その明白なデータの山からこの結論を導き出すのは誰でもできることではない。
この本は一体何についての本なんだろう。取り上げられている子育てや相撲の八百長KKKについての本、というわけでもなさそうだし、計量経済学とやらの威力を証明するための本と捉えるのが良さそうな気がする。本の中では「一貫したテーマ」なんてものはないと明言されているけど。