「宇宙クリケット大戦争」 ダグラス・アダムス 著

宇宙クリケット大戦争 (河出文庫)

宇宙クリケット大戦争 (河出文庫)

銀河ヒッチハイク・ガイド」シリーズ3作目。
本当にこの本の理屈は、なぜこんなにも俺のツボを突くのだろう。ストーリーは今までのように明確にならず脇道に逸れ過ぎのような気はするけど、細部の常軌を逸した屁理屈は磨きがかかっている。
こんな文章がある。

銀河ヒッチハイク・ガイド』の歴史は、理想主義と闘争、絶望と情熱、成功と失敗の歴史であり、また途方もなく長い昼休みの歴史でもある。

こうして「銀河ヒッチハイク・ガイド」の出版社の解説が始まるのだけど、なんというか、仮にその理屈のどこがおかしいのかを考えようとしても、あまりに根本からおかしいので考えるための言葉をなくしてしまうのだ。しかも、この出版社の解説は、宇宙におけるクリケットの説明の中の脇道に過ぎない。
あるいは唐突にこんな文章から始まる章がある。

どんなことであれ、重大な問題をじゃがいもだけで解決できると思っていたらそれは間違いだ。

この有無を言わせぬ断定に、思考は停止する。
ここに引用した二つの文章は、この本の頭のねじの吹っ飛び具合を紹介するには少し物足りない部分かもしれないが、格言めいた文章の風貌が印象的に可笑しくて好きだ。
このシリーズはあと2作あるらしいが、2作しかないのが残念だ。