「アンジェラ」 - うっすら覆う身勝手なぬるさ

「アンジェラ」オフィシャルページ
監督 リュック・ベッソン


白と黒で切り取られたパリの街や、リー・ラスムッセンの持て余し気味に伸びた腕や脚はきれいだけど、それ以外はあまり感じるものがなかった。青春ものとか自分探しの話とかかなり好きだけど、この映画の場合は気持ちはあまり付いていかない。
よく、やられ役や引き立て役の側の気持ちになってしまう場合があるんだけど、この映画の場合は、クラブでアンジェラを買おうとする男達だ。後でアンジェラが体を売ってなくて良かった良かったみたくなってるけど、美人局の方がほんとに良かったのか? トイレで殴られ便器に顔を突っ込まれる男達の事はどう思ってるんだ? 女を金で買おうとするやつなんかそうなってもいいって事なのか? そういう居心地の悪い身勝手なぬるさが全編をうっすらと覆ってる感じがするんだよな。
男の気持ちの移ろいは「やさしくされると好きになる」ってやつか? この後それでやっていけるのか? でも意外とそういう感受性の方が長続きするのかもね。
ただ、話としては俺の願望のいいところは突いていたのかもしれない。あんな風に女が全部面倒見てくれたら、気が楽だろうなあ。これでもうちょっと苦みが効いていたら、結構入り込んでいたかもしれない。