「原寸美術館」 結城昌子 著

原寸美術館 画家の手もとに迫る

原寸美術館 画家の手もとに迫る

これはツボにはまった。有名な絵画の一部を実物大で載せた画集だ。そう、やっぱり大きさは重要だ。これを見て思ったのは、意外と小さいんだなということだ。ミケランジェロの天井画でさえも、このサイズの中に顔が入ってしまうものなんだ。これで、絵の具の凹凸まで実際に再現されたら最高だけどな。それは技術的に無理か。それでも、筆使いや絵の具の凸凹を見る事ができる。その事は、3次元を表現しようとした2次元の存在である絵画が、実は頭の中で構成された抽象的なものだということを思い知らせる。実物の絵画は、絵の具という物質だ。
あんまり画集を買ったことないのにこの本を買ってしまったのは、大きさが重要だと思っている俺の趣味にこの本の意図がぴったりだったということもあるけど、たぶんもう一つある。本屋でこの本の隣に並んでいたのが、ウンベルト・エーコの「美の歴史」だった。ずいぶんでかくて厚い本だなと思って値段を見たら、ひー、8,400円。次に手に取ったこの本もかなり大きめなので、相当値段が張るのかなと思って見たら3,990円。安!っと思って買ってしまったけど、冷静に考えれば高い買い物だ。まんまと本屋にしてやられた。