「愚か者死すべし」 原寮 著
- 作者: 原リョウ
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2004/11/25
- メディア: 単行本
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本当に久々の新作だ。いやもう新作とは呼べないか。2004年の本だ。「さらば長き眠り」から9年たったそうだ。もう作家を辞めたのかと思っていた。
一時期、ハードボイルド小説を続けて読んでいた頃があって、基本的には外国の小説を読んでいた。日本のハードボイルド小説もたまに読んだけど、どれも違和感と気恥ずかしさを感じずにはいられなかった。それでも、物語の半ばぐらいになれば慣れてくるし、身近な日本人とハードボイルドというおとぎ話の組み合わせは、リアルにすることはできないのだろうと考えていた。そんな時に読んだのが原寮だった。大した量ではないけど今まで読んだ日本のハードボイルド小説で、違和感を感じなかったのは唯一、原寮の小説だけだ。
この「愚か者死すべし」でも、自然体のハードボイルドは健在だ。女性が「かまいませんわ」などという言葉づかいでしゃべる事が自然かどうかは置いておく。ただ、この本の出来なのか、俺の趣味が変わったのか分からないけど、ストーリー展開にあまり盛り上がりを感じなかった。そういう面では期待はずれではあった。次回作が10年後にならないことを願う。