「愚か者死すべし」 原寮 著

愚か者死すべし

愚か者死すべし

読んでからちょっと時間が経ってしまった本なので今日は軽く書く。


本当に久々の新作だ。いやもう新作とは呼べないか。2004年の本だ。「さらば長き眠り」から9年たったそうだ。もう作家を辞めたのかと思っていた。
一時期、ハードボイルド小説を続けて読んでいた頃があって、基本的には外国の小説を読んでいた。日本のハードボイルド小説もたまに読んだけど、どれも違和感と気恥ずかしさを感じずにはいられなかった。それでも、物語の半ばぐらいになれば慣れてくるし、身近な日本人とハードボイルドというおとぎ話の組み合わせは、リアルにすることはできないのだろうと考えていた。そんな時に読んだのが原寮だった。大した量ではないけど今まで読んだ日本のハードボイルド小説で、違和感を感じなかったのは唯一、原寮の小説だけだ。


この「愚か者死すべし」でも、自然体のハードボイルドは健在だ。女性が「かまいませんわ」などという言葉づかいでしゃべる事が自然かどうかは置いておく。ただ、この本の出来なのか、俺の趣味が変わったのか分からないけど、ストーリー展開にあまり盛り上がりを感じなかった。そういう面では期待はずれではあった。次回作が10年後にならないことを願う。