「アイランド」 監督マイケル・ベイ

評論家受けの悪いマイケル・ベイの映画だけど、俺は結構好きだ。


この映画でも都市部でのアクションシーンは面白い。特に高速道路(?)でのアクションは良かった。「マトリックス」は好きな映画ではないけど、やっぱり高速道路でのアクションシーンが面白かった。俺のつぼがその辺になんかあんのかな。追う側と追われる側のやりとりがあり、その舞台となる車自体がまた移動してるので、2重の移動性が面白いのかな。
それと重量感のある車が、ごろごろと転がったりつぶれたりするところに、何とも言えない気持ちよさを感じる。
主人公と雇われた私兵達と警官の三つ巴をもっとふくらませてその3者のアクションメインでやってくれたらもっと面白かったろうに。


都市部のシーンに比べて、クローンのいる施設のシーンは面白みがなかった。SF映画はあたりはずれが激しい。映画の世界になじめないと全てがまぬけに見えてくるし、逆にはまれば刺激的な映画に見えてくる。予告を見た時はSF映画としての面白さをこの映画に期待したけど、そういう点ではあまり刺激を感じなかった。クローンの培養装置のようなものが並んでるシーンとか、もっと面白く見えてもおかしくないんだけど、何が違うんだろうな。なんか、これ見よがしな感じだけで、面白みがないんだな。


たぶん、この話のSFとしての面白味は、この映画の結末の後にこそある。クローンが街中にあふれ出して収拾つかない状況こそ、作り手の想像力を試されるところだ。クローンが明るみに出た時に、クライアントはどういう態度に出るのか。政治家はどういう態度を取るのか。科学者は?一般人は?マスコミは?受け入れるのか、拒否するのか。人間として認めるのか、動物扱いするのか、あるいは宇宙人?物?見ない事にする?


この人には、変な色気は出さず、アクションに徹した映画を作ってもらいたい。あるいはアクションを封印して、軍人を扱ったドラマを作ると、意外と面白い映画を作るかもしれない。
この人の映画はドラマ性とかキャラクタ造形の奥深さとかとは無縁な映画ばっかりだけど、軍人とか警官とかには妙ににじみ出る魅力がある。システィマティックに、迷いを持たず、任務を遂行する姿がいいのかな。
いや、アクション封印だけじゃだめか。「パールハーバー」の例があるし。アクションも恋愛も封印して、軍人と仕事に焦点を絞った地味なドラマだったら、意外といい味を出しそうな気がする。「ゴルゴ13」を映画化したら面白いのを作るかもしれない。