「キャンディーの色は赤。」 魚喃キリコ 著

キャンディーの色は赤。 (Feelコミックス)
・本屋でたまたま見つけた。まだ書いてたんだな。奥付を見ると2007年8月。1年近く新作に気が付かなかったのか。
・で、もう最大の期待でもって読み始めたのだけど、数ページ読んだ印象では、なんか前のように楽しめない! とちょっと焦った。なんか絵が大雑把な感じがするせいかもしれないし、子宮がどうこうって女性の話のせいかもしれない。けど、もしかしたら時間が経って自分の感じ方が変わってしまったせいで、もうかつてのように楽しめなくなってしまったのかもしれない、とかなりの失望を覚えた。
・のだけど、結局それは杞憂で、やっぱり読み進めたら面白い! かっこいい!
・なんだろうなあ、この面白さは。確かに舞台は日常的な日本でセリフは日常的な日本語なのに、凡庸な例えだけど「フランス映画」と聞いてイメージするような映画の雰囲気。絵の力なのかなあ。
・やっぱり絵の力だけじゃないな。具体的な物語に依らずに感情を抽出する感じ。周辺を描くことで中心にある空白のシルエットが浮かび上がって、それが結果的に、捉え難い、表現し難い、感情の揺らぎを精密になぞっている感じ。