「天然コケッコー」 監督 山下敦弘

「天然コケッコー」オリジナル・サウンドトラック BY REI HARAKAMI
夏帆を見に行ったと言っても過言ではなくて、映画自体は俺には合わないかもなあとは思っていたけど……
予想したより楽しめたと同時に、なんだろう、この物足りなさは。決してつまらなくはないのに……
・ほのぼのしたものへの感受性が鈍ってきているのかもしれない。自分では刺激中毒だとは思ってないのだけど……
・ああ、というか、中学生に感情移入するのが年齢的に難しくなってきてるんだな。どちらかというと先生とか親とかの方に感情移入してしまうのだけど、この映画ではそのあたりはあまり前面に出てこない。
・うーん、本当にそうなのかな。「初恋のきた道」とか今観たら物足りないんだろうか。
・死者への祈り、大人たちの事情、女として見られること、父親への不信、恋、人の中で生きることの困難さ。なんか種は大量にばらまかれているのに話が広がりそうで広がらない。そういった棘がほのぼのさにかき消されてしまった感じがする。あえて棘をもやもやっと隠そうとしたんだろうか。
・印象深いシーンはある。祭りで泣くシーンは、大げさに言えば素直さと残酷さが同居した鋭さに画面が研ぎ澄まされているように感じた。
そのあたりの無自覚に傷つける素直さと誰も傷つけずに生きる事の矛盾や不可能性がもっと表に出てきていたら、ただきれいなだけの映画では終わらなかったような気がする。