「不完全なふたり」 監督 諏訪敦彦

・日常会話が延々と続く映画というのは好きなんだけど、これはちょっと違ったのかなあ。
・退屈ではないのだけど、フィクションの世界の「日常会話」ではなくて、もっとリアルな日常会話なのかな。あー、日常会話と言ってもぎすぎすした日常会話だから見てても楽しめないのかなあ。
・理不尽な事まで言ってしまう女と、まともに取り合わないふりをしてどうにか逃げるようにその場を終わらそうとする男の、噛み合わない口喧嘩は男の方に完全に感情移入してしまった。やっぱり女の人は女の方に感情移入するんだろうか。
・ただその後、独りになった後の女の表情も映してしまうのはなんかずるい気がするというか人の気持ちが明確になりすぎる気がする。現実では、もしかしたら相手も言い過ぎたと感じているのかもしれないと思っても、それは想像の域を出ない。常に他人の心は自分の想像の中にしかない。他人の心を確信できることはなく、ゆらいでいる。
・なので、独りになった後の表情も映してしまうのはそういう現実のゆらぎをなくしてしまうような作り物の匂いを嗅いでしまった。会話がリアルだっただけ余計に。
・……それは俺が男の側の視線で見てるからか。
・最後は「それだけか」という感じもしたけど、そこはあんまり本質的じゃないかもな。面白い映画でも、ストーリーなりテーマらしきものなりを思い返すと大したことは言ってないことも多い。そういうのと、その映画が面白いか面白くないかはあまり関係ないかもしれない。たぶん途中をあまり楽しめてなかったからラストで「それだけか」と感じてしまったのだろう。
・うーん、なんだか書いてて言いがかりを付けているような気がしてきた。ドラマ的な部分を俺が理解できたとは思えないけど少なくても退屈ではなかった。