「イカとクジラ」 監督 ノア・バームバック

The Squid and the Whale
このへなちょこな雰囲気がたまらなくいい。
いびつな家族をシニカルな笑いで見せる映画は多い。けどこの映画が特にいいのは、自己嫌悪、自責、自虐といった虚弱さが、笑いにも皮肉にも押し潰されずに生々しく保持されているところだ。ひねくれてしまった子供ではなく、ひねくれつつある子供の登場が特にそう感じさせるのかもしれない。その内に向かう視線はどこか日本的な感じがするけど、どうだろう、そんなことないか?
監督のノア・バームバックは「ライフ・アクアティック」の脚本も書いているそうだ。あの映画は思い切りのいい嘘っぱちぶりが面白かったのでこの映画の魅力とはまたちょっと違うような気はする。だけど、3本観たウェス・アンダーソンの映画で「ライフ・アクアティック」が唯一心底楽しめた映画だったので、やっぱり何かノア・バームバックの特徴があって、それが俺を捕らえるのかもしれない。