「ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!」 - 物質の存在と偽の命が浸食し合う

「ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!」オフィシャル・サイト
監督 ニック・パーク


いい!「チキンラン」が少し期待はずれだったので、長編はだめなんじゃないかと思っていたけどそんな事なかった!
俺が一番好きなのは、映画全体からすると地味な部分だけど、畑を荒らすウサギを集める「ウサギ回収マシーン」だ。その機械の中でたくさんの捕まったウサギが、我関せず、といった表情でがぐるぐると宙を回っている姿だ。この感じはなんだろうなあ。やっぱり絵のアニメにはない感触がある。そして、たまに見かける他のクレイアニメにない感触もある。単に漫画を実写にしたというだけじゃない。前にヤン・シュヴァンクマイエルについて、ぎこちなさがいいと書いた。しかし「ウォレスとグルミット」にはあのようなぎこちなさはない。
現実に縛られてない感じがいいのかもしれないな。絵ではなく物という現実味を引きずりながら、それでいて現実に縛られていない。半ば現実、半ば虚構、そのバランスの問題なんだろうか。いや、バランスと言うよりも互いの存在を浸食し合う感じだろうか。