「存在の耐えられない軽さ」 監督 フィリップ・カウフマン

存在の耐えられない軽さ [DVD]

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原作のある映画でも、原作と映画は別物だと思っているので、映画を解釈する際に、そこに描かれていないものを原作で補ってしまうのはあまり好きじゃない。けど、この映画では原作で補って考えたい部分がある。いや、補うと言うより、比較対象とするような感じか。


この映画はミラン・クンデラの同名小説が原作だ。小説は冒頭ニーチェ永劫回帰についての話から始まる。まさにそこで題名にもある「軽さ」と「重さ」について語られる。人生も歴史も永遠に繰り返される事で耐え難い責任の重さが発生するのなら、裏を返せば、もし実際には繰り返されないのなら、人生は素晴らしい軽さを持つはずだ。しかし、本当にそうなのか。こんな感じの事が書かれている。映画でも「軽さ」と「重さ」についてのセリフは一応出てくるが、原作とは少しニュアンスが違っているように受け取れる。小説の中身はほとんど忘れてしまったので、映画がどのように違っているかは判断する事はできないが、この映画ではまるで「軽さ」は男の浮気性を表しているかのようにも受け取れる。
ソ連によるチェコスロヴァキア侵攻という事件の扱いにしても、小説と映画ではその事件に託した意味が少し違っているように見える。


映画版のテーマについて、本当はここに書きたかったんだけど、書こう書こうと思いながら1ヶ月ぐらいたってしまった。見た直後に書いておいたメモには、「服を脱げ 帽子 征服 写真 セックス」と書いてあるんだけど、もう何を考えていたのかほとんど忘れてしまった。なんとなくは思い出せるけど、書いているうちに映画から離れていきそうなので止めておく。