「ベルカ、吠えないのか?」 古川日出男 著

言葉遣いに面白みがあった。でも、全体としてはどうかな。この本の面白みを掴みきれなかった感じがする。
犬の系譜を通して、歴史と地球を横断する。アイデアとしてはとても魅力的だ。でも、なんだろうな、この煮え切らない感じは。この本のアイデアはそれだけなのか?本当はそれだけじゃないのに、俺が、この本、作者の意図を見逃してるんじゃないのか?いや、それ以前に内容がまだ理解できてないんだな。
イヌ紀元?なんで犬にとって宇宙を飛んだ日がそんなに重要な日になるんだ?なんで犬がそんなに重要なんだ?
この本の意図はなんだ?
そうだ、スタートで間違ったんだ。なぜか、凶暴な犬人間の話を予測してしまった。そしたら、いつまでも普通の犬と人間しか出てこなくて、「あれ、あれ、なんか違う?」と感じながら読んでしまったんだ。
そのせいなのかなあ。

やくざの娘とロシア人のやりとりはおもしろかったな。全く噛み合ってない会話を意にも介さずおしゃべりを続け、でも、行動はいつの間にか噛み合ってしまう感じが。

「ベルカ、吠えないのか?」という題名はどんな意味なんだ?ラストの「それからお前たちは、二十一世紀に宣戦布告するだろう」ってどういう意味?エリツィンはなにを終わらせたんだ?この本を理解するために、もう少し世界情勢についての知識が必要だったのか?
考えれば考えるほど、理解できてなかった事が分かってきた。